「バック・トゥー・ザ・フューチャー2」、「A.I.」、「マトリックス」。。。未来の世界を描いたSF映画は枚挙にいとまない。だが、一言に未来といっ ても、未来像はそれぞれの映画でだいぶ異なる。しかし、そうしたSF映画の殆どに共通して出てくるテクノロジーがある。立体映像だ。そんな、ちょっと前ま では未来世界の象徴だったテクノロジーが、じょじょに現実の物になってきている。

例えば、米IO2 Technologyが開発した、空気を照らして3Dのように見える画像を作り上げる技術や、米Actuallyの、回転式映写レンズを使って、透明な ドーム内で空中に浮かんだ立体画像を作り出す技術を使えば、「スターウォーズ」の第1作に登場する、レイア姫が助けを求めるホログラムのシーンを、映画の 中ではなく現実の世界で再現できるようになるだろう。また、この技術とCTスキャンなどを組み合わせれば、単なる断面図やCGなどよりはるかに分かり易い 形で、医師が患者の状態を調べることができるようになる。

だが、こうした中空に映像を映し出すシステムが身近になるには、もう少しばかり 時間がかかるだろう。そんな中、大掛かりな装置を使わずとも、三次元の画像を表示できる液晶ディスプレイがすでに出回っている。作ったのはシャープ。ご存 知のように、人は左右の目から入る2つの画像を脳内で組み合わせることで、立体画像を認識している。片目を閉じると距離感が無くなるのはそのせいだ。 シャープの開発した技術は、この特性を利用したもので、左右の目にそれぞれ若干異なる画像が映るようにすることで、映像が立体的に見えるようになっている のだ。

この技術は、モニターからの距離が適切でないと立体に見えないという難点はあるものの、回転式映写レンズを使ったりする技術と比べ ればはるかに手軽だ。どれくらい手軽かというと、携帯電話のディスプレイとして使えるくらい手軽なのだ。半年以上前に発売されたNTTドコモ用携帯電話機 「SH251iS」に、そうした三次元ディスプレイが搭載されており、他にも、三次元ディスプレイを搭載したノートパソコン「Actius RD3D」を発売している。

しかし、シャープが開発した特殊な技術を使わなくとも、三次元のディスプレイは実現可能だ。カナダのトロント大学で教鞭をとる日本人研究者が、驚くべき方法で3次元ディスプレイを作れることを発見した。 その方法とは、普通のパソコンの液晶ディスプレイに、これまた普通のセロファンラップを貼る、ただそれだけのことで、ノートパソコンのスクリーンを3次元 ディスプレイに変えてしまえるのである。当然のことながら、費用も破格で、セロファンの値段は特注の半波長板の値段の3500分の1程度だという。

今年の3月には、伊藤忠商事、NTTデータ、三洋電機、シャープ、ソニーの5社が共同で、3D立体表示市場の創造を目指す「3Dコンソーシアム」を設立した。 同コンソーシアムでは、3D市場の本格的な普及をにらみ、グローバルな展開も視野に入れた上で、入出力機器のハードウェア、コンテンツなどのソフトウェア の両分野での開発・普及に向けて活動を展開していくという。このように、2003年は3D技術の幕開けの年とも言える年なのである。また、上述の「3Dコ ンソーシアム」に参加しているそうそうたるメンバーを見れば、こと技術面に関しては、この市場が順調に成長していくことは間違いないだろう。だが、3D技 術が本当に意味を成すために重要なのは、ハードウェアよりもコンテンツである。どれだけ精密で美しい3D映像を描写できる装置があったとしても、その装置 を使って表示できるコンテンツ自体に魅力が無ければ、はっきり言ってそんな装置は無駄でしかない。立体映像ならではの面白いコンテンツ、読者諸氏に何か面 白いアイディアがあれば是非お聞かせ願いたい。

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