朝寝坊してしまい、遅刻ギリギリの時間で会社に到着。エレベーターに飛び乗ると「閉」ボタンを連打する。こんな経験はないだろうか?連打しても閉まるス ピードは変わらないと知りつつも、なぜか連打してしまいますな、あのボタンは。さて、今回はそんなエレベーターの「閉」ボタンについて。
実はこのボタン、フランスのエレベーターには殆ど付いていない。「開」の方は、安全性の理由から無くてはならないものなので、もちろん付いているが、 「閉」ボタンの付いたエレベーターというのは、恐らく全体の1%にも満たないだろう(個人的には1度しか見たことがない)。フランス的観点からす ると、「閉」ボタンというものは別に要らないのである。
確かに、ちょっと考えてみれば分かることだが、「閉」ボタンってそんなに実用的なものではない。例え「閉」ボタンを押さずとも、どんなに長くとも 10秒もすればエレベーターの扉は閉まる。扉が開いてから、乗り込んで、行き先階のボタンを押してから「閉」ボタンを押すという一連の作業は、普通に すれば5秒くらいかかることを考えるると、「閉」ボタンを押すことで減らせる待ち時間というのは、実質5秒も無いのである。たった5秒を節約することに実用性が あるとは言い難い。
それでも、日本のエレベータにはそんな「閉」ボタンが標準装備されていて、かつ日本人はまず間違いなくそのボタンを使う。ほんの数秒の差しか無いの に、扉が自然に閉まるのを待つ人は殆どいない。日本に来たばかりの外国人や観光客から見れば、日本国民はせっかちだなぁという印象を持つだろう。
しかし、最初はそんな風に思っていても、しばらく日本に住んでいるうちに、みんな「閉」ボタンを使うようになる。そして、自分の国に帰って空港のエレ ベーターに乗り、そこで初めて「閉」ボタンの意義に気が付くのである。そう、実用的ではないにしても、あのボタンは「あるに超したことはない」ということに。
日本にはそういった「無くても困らないけど、あると便利」なものが溢れている。Suicaにしても、定期券が非接触型である必要はどこにもないけど、財 布から出さなくていいのは確かに便利だ。日本の携帯電話に付いている機能なんて、殆どが無くても困らないものばかり。でも、やっぱり無いよりは付いてい る方がいい。
日本人は、この「あるに超したことはない」物を作る能力がズバ抜けているように思うのである。

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