今回は、フランスで今起こっている暴動に関連して、日本のメディアではあまりその実像が伝えられていない、暴動の背景について。

この暴動が起こった地域を、フランス語ではシテ(Cite)と呼び、貧困街みたいになっている。HLMというボロボロの国営団地が立ち並んでい て、治安の悪さはトップレベル。基本的に、地元民以外が足を踏み入れることは無い。というか、知り合いでもいない限り、怖くて行けないし、そもそも行く必要性が無い。

で、シテの生活環境はかなり劣悪。とにかく汚い。大抵の住宅は2~30年前に建てられたものなのだが、その壁は排気ガスのせいで黒ずんでいて、塗装はは がれまくり。取り壊されずに放置された倉庫跡やらが点在していて、そういった場所は窓も割られ、完全に廃墟になっている。

あと落書き。半端じゃない。街中の壁はもちろんだが、先ほどのHLM団地の入り口なんかは、何か呪術的なまじないかと思えるほどに、びっちりと落書 きで埋まってたりする。建物だけじゃなく、トラックなんかも落書きだらけ。他にも、高速道路の看板や、歩道橋の側面など、けっこう命がけでやったで あろう場所にも落書きされている。

先ほど治安も悪いと書いたが、日本とはレベルが違う。とりあえず、いい服を着てこの地区に足を踏み入れるのは、腹を空かしたライオンの檻に飛び込 むようなもの。あっという間に囲まれて、金目の物は靴まで全部持ってかれる。少しでも抵抗しようものなら、良くてぼっこぼこ、悪いと刺される。ア メリカと違って銃は殆ど持っていないのが、せめてもの救いである。

当然のことながら、麻薬もガンガンだ。基本は大麻かチョコで、多分12~13歳くらいから吸っている。喫煙率=麻薬使用率と考えていいかと。ただ、これ は何もこの地域に限ったことではなくて、フランスの若者でタバコ吸う人は、大抵ハッパも吸ってる。でも、シテの若者は単なる消費者じゃなく、売っている。そう、ディーラーである。

そういった若者達(フランス語ではRacaille、ラカイユと呼ぶ)の多くは、義務教育すらまともに受けていない。中学生くらいになると、近所の悪いお兄ちゃん達についていって、学校サボって強盗したり、麻薬売ったりするようになるわけだ。

また、近年このシテで問題になっているのが、集団レイプである。ラカイユの少年達はそれをTournanteと呼んでいる。意訳すると、「輪しっこ」と いった感じだろうか。その語感からも見て取れるように、彼らはその行為に対して、殆ど罪の意識がない。女はやられたがっていると、本気で信じ込ん でいるのである。「いやよいやよも~~」とかいうレベルじゃない。

またラカイユ達は、何もずっとシテに閉じこもっているわけではない。普通にパリ市内にも出没し、万引きしたり、カツアゲしたり、車盗んだり、麻薬売ったりしている。

そんな彼らが一番ノリノリになるのが、大晦日。みなさんの中にも、テレビでフランスの新年の様子を見たことがある方もいるかと思う。きれいにライ トアップされたシャンゼリゼ、エッフェル塔での花火、どれもすごく素敵である。しかし、午前1時をちょっと過ぎたあたりから、シャンゼリゼやエッフェル塔は 超危険地帯になる。ラカイユ達の無礼講である。

人ごみの中に発煙筒を投げ込んだり、「明けましておめでとう!」とか叫びながら車の窓を割ったり、何も知らない観光客を無意味に殴ったり、好き放題である。
ちなみに、なぜ午前1時を過ぎたあたりからかというと、これは別に年が変わるのを待っているわけではなく、それくらいになると周辺を警備している機動警察がいなくなるからだ。

とまぁ、かなり大雑把ではあるが、以上が今回の暴動騒ぎの中心にいる若者達の実態である。

これだけ書くと、単に彼らが悪いとしか思えないですな。しかし、その裏には、フランス社会が抱える大きな問題があるのも、また事実なのである。が、もうだいぶ長くなってきたので、それはまたの機会に。

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